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告知受領権について


生命保険に加入する時は、過去にかかった病歴や検査歴、その結果などを告知する必要があり、告知しなければならないと思われる内容を、告知書という書面に記入しなければなりません。また、保険加入の際に審査医の診断を受ける場合、この医師が所見した診断の内容も、告知書という形の書面で保険会社に提出されます。

この告知は、加入する保険の関係者になら誰に対して行っても有効なものではありません。“告知受領権”という、告知を受ける権利を持った立場の人間に告知しなければ、告知したとは認められないのです。

告知受領権を持っている人間とは、基本的に審査医だけと考えて良いでしょう。意外なことですが、保険の営業を行っているはもちろん、保険会社の社員である生命保険面接士にさえ、告知受領権は与えられていないのです。

もちろん、過去の病状を自分で告知書に書いていれば問題ありません。しかし、保険のセールスレディや、面接士に口頭で伝えただけで、告知書に書いていない場合は、告知義務違反となることがあるのです。

例えば、過去に肺ガンの手術を受けたことのあるAさんが、顔なじみの保険セールスマンであるBさんから保険を勧められ、加入することになったとします。Aさんは、過去の病歴をBさんに告げたのですが、Bさんは「病歴を告知すると、保険に加入できないかもしれないから、書かない方がいい」と、Aさんの告知書に病歴を書かないように勧めました。Aさんは、自分で告知書には書いていないものの、保険セールスマンのBさんには口頭で伝えているので大丈夫だろうと、結局告知書には肺ガンの病歴を書きませんでした。

このようなケースで、もしAさんの肺ガンが再発して死亡した場合、Aさんの告知義務違反ということになり、保険金は支払われません。保険セールスマンであるBさんには告知受領権がないため、Aさんが口頭で病歴を伝えていても、それは告知とは見なされないのです。

また、契約の前に、Aさんは審査医の診断を受けることになりますが、この時に審査医がAさんの過去の病歴を見逃したとしても、告知義務違反であることにはほとんど変わりがありません。審査医との問診で肺の病歴について聞かれたとき、Aさんが「大きな病歴はありません」と伝えてしまえば、審査医はそれ以上追求はしないでしょう。審査医の診断も精密検査ではありませんので、結局は契約者自身の告知に委ねられる部分が大きいのです。

今回挙げたような例は実際に少なくはないようです。営業の人間にしても、保険会社としても、契約をとれた方が利益が上がるのですから、病歴を偽ってでも契約してもらえれば良いわけです。さらに、告知義務違反となれば保険金を支払う必要もなくなります。保険会社はリスクなしに保険料を手に入れて、契約者は、そのお金を何の見返りもなしに支払っていることになります。

事実、数年前には告知義務違反を盾に、不当に保険金を支払わなかったとして、保険会社が業務改善命令を受けた事例もありました。近年問題になっている保険金の不払い問題を考慮しても、明るみに出ている事例は氷山の一角とも思えるのです。

先ほどの、AさんBさんの例のように、過去の病歴をきちんと告知書に書いていない場合、その生命保険は何の役にも立たないどころか、保険料を搾取されるだけになっている可能性があります。

営業利益優先のいい加減なセールスマンや、セールスレディの口車に乗らず、告知書には偽り無く自分の過去の病歴や検査歴、入院歴などを書いてください。病歴を隠して生命保険に加入しても、保険金は受け取れません。

余談ですが、審査医に口頭で告知した場合、審査医には告知受領権が与えられていますので、告知したことにはなります。

ただし、審査医がその内容を告知書に書き漏らした場合、告知義務違反でないことを証明するためには、口頭で審査医に告知したことも証明できなくてはなりません。証拠の残らない口頭での告知を過信するよりは、自分でしっかりと告知書を書く方が確実といえます。

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