故意の殺人による免責(被保険者故殺免責)

被保険者が、契約者または受取人によって故意に殺された場合、生命保険の保険金は支払われません。保険金目当てで被保険者が故意に殺害されても、保険会社は被保険者が故意に殺された場合、保険金の支払いを免責されるわけです。これを、被保険者故殺免責と呼びます。
この免責は、契約者や受取人が、保険金を目当てに被保険者を殺害するというような保険金殺人を防ぐために設けられています。例として、夫が保険契約者と受取人、妻が被保険者の場合で考えてみましょう。
この保険契約では、被保険者である妻が、不慮の事故や病気などで死亡した場合、受取人である夫に死亡保険金が支払われます。しかし、夫が故意に妻を殺害した場合、保険会社は被保険者故殺免責を理由に、保険金の支払いを拒否できます。
では、これが夫婦の無理心中であった場合はどうなるのでしょうか。
何らかの理由で夫が妻を殺害し、その後夫も自殺した場合、夫は妻を故意に殺害したことになります。しかし、夫も死亡しているため、夫は保険金目的での殺害ではありません。また、受取人が死亡しているため、保険金は受取人、夫の相続人(この場合は、妻も死亡しているので)である子供になります。
では、このような無理心中の場合でも、被保険者故殺免責は適用されるのでしょうか?
答えは、支払われません。残された子供がいた場合は気の毒なことですが、無理心中の場合でも被保険者故殺免責が適用され、保険金は支払われないのです。
自殺免責期間後の自殺については、保険金目的で事件性のないものであれば、保険金が支払われます。しかし、今回挙げた無理心中のケースでは、夫も死亡しているとは言え、妻を故意に殺害したことには変わりありませんので、故殺という扱いになります。
また、このようなケースでも保険金支払いをするとの判例を作ると、以後に保険金を目的とした、同様の事件が起こりかねません。公共の利益を考えても、保険金支払いの判断が下ることは難しいと言えるでしょう。
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