広告の数字とは冷静に向き合おう

日本では、「保険=入っていて当然のもの」というイメージができあがっていて、保険に入ることは良いことと、何の疑問ももたずに思い込んでいる人が少なくありません。しかし、保険会社も商売で保険業をしているわけですから、消費者の利益ばかりを考えて保険商品を作ってはいません。どんな保険でもとにかく入れば良いというわけではないわけです。
それどころか、何も考えずに加入すると、「高い保険料を払わされた上に、約款をきちんと読んでいなくて保険金を受け取れなかった…」などということもあり得るのが“保険”という商品だということは、当サイトの様々なコンテンツでもお話ししている通りです。
しかし、このような保険の本当のところを把握している人は、まだまだ少ないのが現状です。そして、保険に入ってさえいれば安心という「保険神話」を信じている人々に加入してもらおうと、保険会社はイメージ先行の広告を出しがちです。時間やスペースの問題を考えれば、約款の内容すべてを踏まえて広告するのは当然無理ですが、「とにかく入っておけば安心」というイメージを膨らませすぎるのも少々問題です。
そんな広告の内容で、ちょっとした誤解を招きかねない材料の一つが“数字”です。例えば、がん保険の広告に「40代のがんによる死亡率は約40%」などというデータが載っていたら、驚いて「そんなにもがんでの死亡率が高いのなら、がん保険には入っておかないと」と考える人も多いはずです。
しかし、この約40%という数字が表しているのは、40代で死亡した人の内、死亡原因ががんだった人の数です。ですから、40代の人が死亡する確率を約3%とした場合、3%の40%となりますから、40代の人ががんによって死亡する確率は、およそ1.2%ほどとなります。100人に1人ほどです。(いずれも近年の平均的なデータから設定した想定値です)
もちろん、数字に対する印象が変わったところで、がんという病気の危険性は変わりませんが、40%という数字の恐怖に背中を押されて保険に入ってしまうのが、必ずしも正しい選択だとは言えないことが分かります。100人に1人ほどの確率であれば、やはりヘビースモーカーであったり、特殊な職場環境にいる方など、何らかの理由でがんになりやすい人がそのくらいの割合で亡くなっていると推測するのが自然です。心当たりもないのに「40%もの人が…」と恐怖心を煽られて加入する必要があるとは言い切れません。
また、入院給付金の支払い条件などに「60日以上入院した場合に給付されます」などというただし書きがよくありますが、この60日という数字にあなたはどのような印象を抱くでしょうか?
例えば、がん、急性心筋梗塞、脳卒中の三大疾病などでの入院に置き換えた場合、ただ「60日」という設定がされているだけで、「きっと三大疾病みたいな重い病気だと、これくらいの日数は入院するものなんだろう」と漠然と捉えてしまうのではないでしょうか。
しかし、実際は60日以上に及ぶ入院が必要なのは、三大疾病でもかなり重度の症状の場合です。特に急性心筋梗塞で倒れ、手術によって治療、復帰をした場合、短期では十数日、長くても30日強で退院する人が多いのです。つまり、入院給付金の給付条件の「60日」という設定は、「重度の患者にしか給付しない」ということの裏返しであるわけです。
60日という数字を「保険会社が設定してるんだから、それくらい入院するものなんだな」と良いように受け取って加入しても、軽度の入院では給付金が受け取れない場合もあるというわけです。
保険というものは、契約であってボランティアではありません。保険会社は、利益が出るからこそ保険事業を行っています。ですから、広告に映し出されているイメージは、あくまでも契約者を増やすためのもので、数字もそのままイメージだけで鵜呑みにはできないものを提示してくることもあると考えてください。くれぐれも、広告をイメージだけで捉えず、自分自身でその保険の内容をきちんと把握して、本当に必要な保険のみ契約をしてください。
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